FET差動プリアンプ
 
   先祖がえりのアンプ


はじめに:
CR結合の管式EQアンプが今でも注目されるならCR結合のTRアンプも然りと思い製作しました。問題は素子スピードとF特が優れているが故に針からのパチパチ音が素直に出てしまう事です、これは運用に注意し良い針と盤面クリ−ン作戦で対応するしか無いと思われます。

そうするとゲルマTRのベースを+アップ、-ダウンさせるターミネータ式のCR結合もトライする価値は充分に有ると思います当方はその日に備え2SB73、2SB440を大事に在庫しています。QUADもMACもCMラボも実力が伴っていたから 時を超えて話題なのでしょう。

当アンプの特徴:
・懐かしいと謂うか手馴れた2段直結ですフォノアンプ部は。
・ラインアンプ部はFET差動です
・外部入力数は4 to 1と充実させました。
・出力はケーブル延長しても支障が出ない様にエミッタフォロアとしました。
   回路図

[ 設計構想 ]
フォノ(EQ)アンプ部:
今回は初段に2SD1993/松下を採用し高抵抗負荷(240K)でゲインを稼ぎました 尚、初段を簡単に交換出来る様3ピンコネクタを使用しTRを差しました、更にバイアスを微調整できる様にVRも入れました。
←左の2個の電コン中間に浮いた茶色3ピンコネクタが見えます。

2段目は直結とし2SK151を採用しました、これのドレン・ゲート間に58PFを発振防止・波形なまらせ(パチパチ音対策)・高域低下(弊害)を期待と言うか覚悟の上で入れました、また少しでもEQネットワークが負荷に成らない様 2段目負荷を2分割した個所からNFを掛けました。

電源は最初2電源で組ましたが簡便な−生成がいけなかったのか0レベルが不安定で2SK151ドレン電位がふらつきます、諦めて今は+25VのみでEQ部は稼動させています。
 
ラインアンプ部:
ぺるけさんの発表と同等内容です 基本はFET差動1段の低倍率アンプと出力用エミフォロ構成です、サービス機能としてローブースト量をVRで変化させます 現在のCR定数では目一杯VRを廻した場合のみ超低音が出ます。

左右チャンネルをオンオフさせたいが為に20KVRのセンタをグランドにしたバランスサーを出口コネクタとパラに入れました、ロスを小さくと狙ったこの定数でもバランスのリニアリテイは確保出来ました。

差動定電流素子としてIdss=8.1mAの2SK170BLを使用しました、電源は差動用に-5Vを 通常用に+25Vを使用しました。

DC電源:
4倍整流した後 ZD+TRで安定化させた30V電源を作りました、この30VからLEDを3個分ドロップさせ簡易的に+25Vと-5Vを発生させました。
←DC電源回路です奥の青色がACスイッチのスパークキラーです。 


[ 使用部品 ]

FET:
2SK151・・在庫品です、今日なら2SK170BLが使えます。
2SK170BL・・在庫の多くはIdss=11〜8mAでした、差動アンプ部にはペア品を選別しました。

パワートランス:
9V200mAのかわいいやつです4倍圧整流しました、それとホームセンタから購入した薄銅板を切抜き・半田付けしてパワートランスのショートリングを作りました。
←ショートリングです。

スイッチ:
・入力セレクトSW(ロータリ4接点2回路)はアルプス製でシャフトを切り落としました。
・モニターSW(3接点双投2回路)はマミヤ製です。
・AC電源SW(3接点3投2回路)はFUJISOKU製で小型ですが100Vで3A流せます、安心料としてSW接点にスパークキラーを付けました こんなスモールアンプに付けた理由は電源SWに連動する増設ACコンセントを設けたからです。
←増設ACコンセントの取付け状況です。

VR:
バランス用はスライド型の20Kです 以前秋葉で入手しました。
←スライド型の20Kです。


[ 製 作 ]
 
製品ケース加工:
LEADブランド標準品のA4サイズのアルミシャーシを購入しその中に全ての部品入れました。当然穴あけを自分で行い塗装は藍色です、それと裏蓋になるA4のブリキ板をホームセンタで購入しました 今回はさながらペア購入した様にブリキにハサミを入れる事なくシャーシと合致しました。更にゴム足を両面テープで貼り付けました。
←リアビューです。

←中身です

フォノ(EQ)アンプ部:
以前設計した全く別物回路の基板を流用しそれに組み立てました どう謂う事かと言うと・・その基板がスリットパターンなのです 適当に銅箔と穴を選択し必要な穴を追加すれば別な回路が組めたのです。
←左上がEQのスリット基板です。

ラインアンプ部:
ラインアンプ部は”15ピン2列のラグ板”上に組立てました、先ず机上で部品レイアウトを考え その後裸のラグ板をシャーシに取り付けた状態で部品実装を行いました。
←下が”15ピン2列のラグ板”です


[ 調 整 ]
フォノ(EQ)アンプ部:
2SK151ドレン負荷が(ドレン−ソース間電圧)と同じに成るようにVRトリマを調整します。

ラインアンプ部:
2SD1994Aのエミッタが10.5〜14.5Vで有る事を確認します。


[ 性能評価 ]
F特/EQ部:
frq        利得(倍)   自身1kとの差(db)  RIAA 偏差(db) 
100Hz 666.67 13.98 0.89
1KHz 133.33
10KHz  25 -14.54 -0.81

10KHzをRIAA基準と比較すると0.81db落とし過ぎと判りました しかし音の良いメーカ製EQでもこれ以上に+やーに乱れているものを見ていますので、現状のEQネットワーク定数で良しとしました。

ヘッドルーム/EQ部:

  EQ最大出力pp(V)
100Hz 21
1KHz 21
10KHz 17

考察:
・手持ちの高出力3.5mvのMMカートリッジで話を進めます、これの場合10KH
z出力はRIAA特性から+14db倍の17.5mvになると考えられます、それを当EQアンプ゚に入力した場合アンプ出力は17.5mV*25倍=438mVになります クリップ開始する17pp(V)までには余裕が39倍(31db)有ります。

・同様に1KH
zでのアンプ出力は3.5mV*133倍=465mVになります クリップ開始する21pp(V)までには余裕が45倍(33db)有ります、許容最大入力は21V÷133=0.158Vです。

・故にヘッドルームマージンは10KH
zで31db、1KHzで33db ですから殆どのLPでクリップは無いと思います。

[ 感覚評価 ]
・EQはそれなりに鳴り 特性以上に高音がキラメいて聞えます。
・ラインアンプは無色で有り 他機の持ち味は悪くならない様です。
(操作性が良くオーディオ生活が楽しくなりました)

 
 
    
  
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