5極・UL・3極切替が可能で コンセプトは長時間安定
■はじめに
公開済みのKT88PPパワーアンプを差動出力に改造し、更にISSE−Bへの変更を行いました。
特徴:
(1)出力段とドライバ段を差動に変更して音質を向上させました。
(2)出力管を5極/UL接続/3極へ直ぐ変更出来る様にして変化を見極める様にしました。
(3)初段管とドライバ管に利用できる管種を増やしました。
■回路図

■設計構想
入力段:
バイアス抵抗は750オームとし12AX7/12AT7/12AU7/12BH7Aのどれでも使用出来るようにして現在は12BH7Aを常用しています、プレート電圧が少し低めですが良い音です。最新変更(ISSE−B)で負荷抵抗を51Kに変更の高域対策を行いました。ドライバ段:
(1)差動の位相反転回路がドライバとなります、定電流回路を採用したので12AT7/12AU7/12BH7Aのどの管でもプレート電流が一定となり使用出来ます、定電流素子はIdssが6.1mAのFET、2SK170GRを使用しました。
(2)L側の定電流FETの流出する電流にもう一仕事させています、それは余剰電流を使い出力段差動の定電流回路TRを駆動する基準電圧を発生させている事です。尚、R側については素直に定電流をグランドに流しました。
(3)反転相プレート負荷を正相より1割高くしてゲインを揃えました。
出力段:
(1)2SD1266の定電流回路を使用した差動としました。
(2)VR調整で出力管2本の共通カソード電流は122〜47mAにコントロールできました またTRに掛かる電圧の分散する目的でコレクタに47オーム入れました。
←真中が定電流TRです。
(3)5結/UL結/3結の切替えはMT7ピンのソケットに配線しジャンパーで選択します、正式にはプログラムプラグを作りますが今は針金ジャンパーです。
←テープ貼って有るのが5結/UL結/3結を切替える7ピンソケットです。
(4)リプレースや極性変換する可能性がある出力トランスのワイヤは端子盤を中継しました。
←端子盤です。
電源:
ヤマハCA2000(B級100WX2 /A級20WX2)パワートランスを流用しました、ファイナル用巻線(44−21−0−21−44V)の88Vを4倍整流しています(目方から予測するとこのトランスは300ワットは取れそうなので話半分として150W、440Vで割れば80mA/1本は取れそうです、実際に運用させたところトランスは”暖かくなる”程度でした。
←右上がパワートランスです。
このトランスにはCA2000ドライバー用として56−37−0−37−56V巻線もあります、巻線抵抗から判断すると600mA以上は取れそうなので、入力段とドライバ段のヒータはシリーズにしてこの巻線を使い、更にC電源も取り出しました。
←左下がC電源リップルフィルタ、中央のトリマー4個がバイアス調整用です。
■使用部品
真空管:
KT−88・・SOVTEC、 6CA7と12AT7A・・松下、 12AU7A・・LUXです。
出力トランス:
ノグチトランスPMF−25Pを採用しました、15HZでの最大無歪み出力をテストしたら8オーム負荷で10W程度でした。
シャーシ:
自分で手加工し若草色に塗装しました。

配線材:
多用しているビニール線は地元カインズホームからの調達品です、店の商品ラベルに300Vと書いて有りました、絶縁被覆は厚めなので実力は高いと判断し440Vでも使用中です。

■製 作
プライヤや棒ヤスリ類は当然有りますが道具はハンドの電ドルと金挟み1丁とシャーシリーマくらいしか有りません 自分でシャーシ加工を行うので穴数は最小にしました アース配線材としてはペーパファスナの金具をラグバーに流用しアースが必要な場合はそのバーにバシバシ落とす様にしました。
←ブロックコンの上に見えるのがアースバー。
■調 整
KT88と6CA7の3結を聞き比べ6CA7で運用する事に決めました
調整は出力管Ip設定が主作業となります、定電流TRの発熱を防止するため微細な調整を行いました。
以下6CA7での調整方法です ()にはKT88のケースも記載しました。@-R4,-L4を−18V(KT88は−25V)にする→各VRを廻します。
AL−CHのV4のカソード10オームに50mA流れる様にする→VR2を廻します。
BL−CHのV4V5のカソード電位差が0となる様にする→−R5電圧のVRを廻します。
CR−CHについてもB相当の作業を行い、全ての出力管カソード電位が12〜14Vである事を確認します。
調整中は電源電圧が変動し一度設定したIpが変化するので@〜Cを繰返し少しずつ規定電流に追い込みます 最後に出力管定電流TRが熱くない事を触診します
■性能評価
F特: 最大出力 9.8W(入力0.5Vpp/1W時/RL8オーム)

矩形波応答:
100Hz/1KHz/10KHz共に大きなオーバシュートもリンギングもなまりも見えません。
■聴感評価
3結時の考察
・KT88(SOVTEK)・・・ 音に”ゆらぎ””こく”が出てきました 一度聞いたら止められません。
・6CA7(松下) ・・・ 音だけが”パ〜ット”前に出てきますしかも音声がより前に出てきます 高音が?低域が?そんな話は低次元と思える位に良い音です、こちらを常備管としました。
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