300Bシングル アンプの改善品
 
 300Bのシングルです、コンセプトは”聞こえない音をサーチ”です。


はじめに:
当HPに記載した6CA7アンプが良かったので この回路要素(アント・アンダーマイン/ANT−UNDERMINE)を300Bアンプに適用しました。

アント・アンダーマイン回路の特徴:
動作をオーディオ周波数帯と割切り、カスケード2段を構成する各デバイスを最大限動作させ 且つデバイス間伝送ロスを最小とした回路です。

メリット・・・高ゲイン/高INP入力/中INP出力/FETと真空管の理想的補完構成/少部品構成。
デメリット・・・採用できる(深いバイアス)真空管種が少ない。

当サイトでは既に双三極管のアント・アンダーマイン回路を組んだアンプ(6CG7+6CA7)公表しましたが、今回は更なる低歪み・高出力をねらいドライバーに出力管6V6の3結を採用した事例をアップしました。

当アンプの特徴・・・以前自作した300Bアンプを改造しました:
・トランスはA電源とB電源を分離した。
・B電源をAC昇圧する際にインターステージ方式(一旦24V)とした。
・リップルフィルタはTRフィルタとした(A電源もB電源も)。
・振動を拾わないようにNFBを全段にかけ、インピダンスを下げた。

 
特別な効果!!
後述”矩形波答性”にも記載しましたが ”アント・アンダーマイン”回路を使用すると低域の出力波形が乱れず まるで“4倍目方のトランス”を通した様になりました、これはドライバーのカソードをAC接地した事で力強くスイングできた事が寄与したと思われます。

   アンプ部回路図

←アント・アンダーマイン回路のドライバー

   電源回路図


[ 設計構想 ]

←ブロックコンはシャーシー内に入れました

電源設計1: ノイズを気にする:
パソコンとラジオを同時使用すると鉄人28号がやって来た様に”キュルキュル”が発生します、この環境では反応が鈍いと言われるST管を使用した当アンプでも何らかのノイズ対策を実施しないと気分が良く有りません、それで今回はACラインにノイズフィルタを入れる事を企画しました。
先ず入り口でノイズのフィルタリングする事を考えてフィルタ入りACインレットコネクタを探しました、が12〜15Aの適当なものが入手出来ませんでした、その為ACインレットは諦めて、今回はディスクリートのTRフィルタを作りました。将来、フェライトビーズやトロイダルコアのチョークでノイズ吸収が出来るように中間電圧を24Vにする事にはこだわりました。

電源設計2: トランス分離、フィラメント点灯:
雑誌”管球王国でA電源とB電源のトランスを分離すると良い音になる”との内容が有ったので、その通りにしました、
左右の300Bフィラメントは合体し片側を接地の上DC点火としました、ラックスの300Bアンプがヒントでした。

初段(アント・アンダーマインのドライバ):
2SK170と6V6-3結をカスケードに接続します、2SK170ドレインへの供給電圧は+31Vとします、これはZenerダイオード9Vと24Vを直列にして発生させます、この1箇所から左右の6V6カソードと左右の2SK170の負荷抵抗に供給します、尚 この方法で現在問題は出ていません。

6V6カソード抵抗が2SK170の負荷抵抗も兼ねます、6V6が閉塞せずかつFET出力が直ぐクリップしない程度のドロップ電圧(2SK170ドレン電流x負荷抵抗)とする必要が有りますが、6V6・2SK170共に1〜2mA流す構想としました、その場合6V6カソード抵抗が12Kオームで結果としてバイアスは-13Vになりました。

改造前はSRPPのドライバーとしていましたが、今回の改造に於いては球数制約が有りSRPPには出来ません そのためドライバー負荷は100K抵抗としました。

出力段:
300Bは固定バイアスとします。ヒータは片側接地で使用します。NFBの考え方としては・・・ここだけの話、今回使用の出力トランスは50KHzにピークを持っているのです ノンNFBだと10KHzから上のレスは落ちるのでピークが現れませんが、NFBを掛けると発生します その値はCAPで補正しきれないものです、今回NFBはピークが持上がらない程度に気持ちだけ(-2.5db)トランス2次から掛けました、NFB27kオームに微分コン入れても高域ピークに変化ないので入れませんでした。
←固定バイアスの調整VR群です  
 

[ 使用部品 ]

真空管:
ドラバーは試行として左側6V6 右側6F6です、以下は当機における電圧測定値です。
  VCC P G K 条件Rk=12K Rp=100K
6V6   281V 134V 18.6V 31.8V (Ip=1.47m Ekg=-13.2V)
6F6 278V 120V 18.7V 31.8V (Ip=1.58m Ekg=-13.1V)

考察:6V6と6F6の差はあまり無いようです 双方とも出力管といってもEpk=100V近辺では-13V位のバイアス値でした、またオッシロ観測でFETのノンクリップ出力は29Vpp、6V6のノンクリップ出力は150Vppでした。

300Bは・・SOVTECと98印です、以前SOVTECが1本断線したので後から98印をペア購入したものです。

出力トランスとヒータトランス:
ノグチトランスのPMF−300BSとノグチトランスのPM633Wを採用しました。
←自動車コネクタで出力トランスの極性変更は楽勝です

インターパワートランス:
トヨデンの24V3Aです。

+B用パワートランス:
欧州輸出用のTRアンプの電源トランス(240V→24V75W)を流用しました。

入出力端子:
フォーンジャックを使います これだとシャーシ加工は丸穴1個で済むという理由で当方のアンプの標準仕様になっています。
←フォーンジャックとVR

 
[ 製 作 ] 

シャーシ:
自分で穴を明けました、電コンは中に入れました、それとキャリング用の取っ手を2個付けました(門扉の金具が上の画像の様に付いています)塗装はまばゆい金色です。

[ 性能評価 ]

+B電源ラインの残留ノイズ:
出力トランス1次の電源側で12ミリp−pV、同300Bプレート側で40ミリp−pVです、ハムもデバイスノイズも聞き取れません。

F特: 1W/RL8オーム(SOVTEC製300B)

     
最大出力:
 4.8W/負荷8オーム

矩形波答性: 
100Hz矩形波応答には本当に驚きました 何がって今までの出力波形はReading Edgeで外に振れ出しその後収束する波形でした が今回の出力波形は殆ど水平なのです、例えで表現すると“4倍重量のトランス”を採用した様になったのです。

[ 聴感評価 ]

音質: 

車載用16センチSPを70センチ机下に入る事務用キャビの大きさのBOXに入れた場合です・・・裕次郎さんの”夜霧よ今夜も有難う”はベース音を止めようとする手の動作が聞こえます。
 
 
   
    
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