大人のエコ アンプ
 
 特定のトランスこだわり、小さいけどクォリティの良いパワーアンプがやっと出来たのでアップします。


◆こだわり:
WINDOWS98が販売された頃に1台のパワーアンプを組上げました、しかしこのアンプ低音に力が無く不満足でした、以来幾星霜、TANGOのU708(シングル出力トランス)とPH120(120mA電源トランス)と真空管4本の限定部材で良いアンプに改造する事がライフワークとなっていました。

キーパーツであるU708は10年前秋葉のトランス屋から“新シリーズでっせ”と推奨され当方期待して購入したものです、シングルだがコアサイズは30Wのパワートランス並みはあるので15HZで10Wは通過するよなと期待もしていました、何しろ普通の電気鉄板ではなくオリエントコアでしたから、しかし最初の製作結果は前に書いている通りでした。それで、トランス類はそのままとして低音充実対策のエレキ改良を10回路以上トライして来た訳です、このアンプでの満足する基準は“それなりにベース音が腰低く聞える事”です。


←左からがU708、U708、PH120

◆検討履歴:
トライした出力管は6V6、6L6、6CA7、5998のそれぞれ5極、3極、超3結、UL接続でした。
トライしたドライブ方法は6N1P、6CG7の連続2段、SRPP、ミューSRPP、FETカスケードでした。

◆トライして判った事:
(1)ドライブがSRPPで出力が超3結なら目標に近い音に聞える。
(2)U708は正弦波15HZをMAX 10V(PP)at8オーム程度しか通せない。
(3)ドライバーを双3極管SRPPとする限りは工夫してもゲイン不足となる、従って、5極3極複合管を使うかTRデバイスを足さざるを得ない、でもポリシーとしては5極3極複合管を使用したくない。
(4)WEB上でもマッチする参考例が見つからないので自前で回路を考案する必要を悟った。

[ 回路考案 ] 
◆新回路“アント・アンダーマイン(ANT・UNDERMINE)”:
低音を歪みなくU708(出力トランス)に通すには極力内部抵抗が低い出力管を使用し、かつ充分なゲインを用意しNFBも掛け、ついでにインピーダンスの低いドライバーで高音も劣化しない回路が必要だと、再認識しました。

考案の末たどり着いたのが次の回路ですドライバーに注目して下さい SRPPのゲイン不足を補う目的でSRPP下エレメントの前段としてFETを入れました、ひょっとしたら同様回路がTVチューナに先祖様として有るかもしれません、SRPP下エレメントとは信号グランドを挟みあたかも土の下の蟻の巣の様なのでアント・アンダーマイン回路と名付けました。
←全回路図、ドライバーに注目下さい



初段(SRPPとアント・アンダーマイン):
・今回はSRPP下エレメントのカソードを+21Vにクランプしています これがFET供給電圧となります。
SRPP下エレメントのカソード抵抗をFET負荷抵抗としても使用するので 下エレメントのバイアス電圧はFETドレン電流x負荷抵抗となりその値はFETクリップしない様に大きく かつ下エレメント(6CG7)が閉塞しない程度の7Vから9Vとなる様にしました、電流はSRPP及びFET共それぞれ1mAとしました。これでゲインと内部抵抗に優れたものが出来ました、短所はヘッドルーム(マージン)ですが。
・SRPP上エレメントのプレートへはU708のLUタップから電源をサプライします、尚、6CA7プレートから直接サプライした場合(超三結)とMAX出力を比較すると15Vと13Vの違いでした、この件の単位はppVです。

出力段:
6CA7の3結のシングルです この3結は内部抵抗が900オーム位で候補管中最低です、無信号プレート電流を50 mA流す事にします、U708(出力トランス)規格一杯の70 mAも流せれば低域の正弦波に美しさと張りが出る事は判っていますが全体電源枠が120mAしか無いのでしかた有りません。

電源:
120mAで6CA7の2本をまかなう必要がありPH120の銅損を少なくする意味で300オームをリターン共通タップとグランド間に入れました 効果は有ると信じています。

←電源まわり

MAX出力時のゲイン:
アント・アンダーマイン回路(2SK170+6CG7)の裸ゲインは250倍程度は有ると思います、全体NFBを掛けた上記回路でのゲイン実績は以下です。
・入力が1.45Vの時→FET出力で16V→SRPP出力で70V→6CA7(3極)経由トランス2次で15V(8オーム負荷)、単位はppV。

[ 使用部品 ]
 

真空管:
・ドライバーはテレビ球の日立6CG7を2本使用します6FQ7や6GU7でも同様に使えると思います、左記管類でバイアスが一番深いもので1mA流れる管を使用しました、今回 Lが-7V、Rが-9Vでした。
・出力管はL側が6CA7でR側は6L6GBソブテックです、これは評価の暫定レイアウトです、Rk470オームは6CA7最適です。


出力トランス:

U708を2個TANGO製を使用しました、高域にピークもデップなく安定した性能です、当方の様に切ったり貼ったりを頻繁に行う者にはドライバー段数変更するとNFB極性が変りトランス結線を引きなおす手間が大変でした、従ってリード線タイプよりラグ板タイプのトランスを選択した方が良かったかなと感じました。

電源トランス:

PH120/TANGO製を使いました最初は6V6が2本で製作していたのでPH120で充分でしたが 最新では6CA7になりました、出来れば同じシャーシ穴ですむNOGUTIのPMC170にリプレースしたいです。

シャーシ:
A4サイズのシャーシを自分で穴を明けました、電コンは中に入れました、それとキャリング用の取っ手を2個付けました(門扉の金具が上の画像の様に付いています)。

入出力端子:
入力端子はフォーンジャックを使います これだとシャーシ加工は丸穴1個で済むという理由で当方のアンプの標準仕様になっています。

抵抗類:
1/2Wでも小型のものを使用しました、品名メーカ不詳です。


[ 製 作 ]
←ラグ板を多用すると変更が楽です、最近”打抜きラグ板”が入手出来なくなりました


[ 性能評価 ]

(a)F特、1W/8オーム負荷/6CA7三結シングル

凄いです今までこのようなF得見たこと有りません、最初は半信半疑で目をこすり3度確認しました。

(b)最大出力
 
3.5W/負荷8オーム/6CA7三結シングル 

(考察:6CA7としては小出力です 原因はFETでのクリップ発生です。対策するとすればSRPP/
下エレメントにもっとバイアスが深くても閉塞しない管(6V6三結等)を採用する事とFET供給電圧を30V程度に上げる事が必要と思います)

(c)矩形波応答
 
100hz,1khz、10kh各周波数ともリンギングは有りません、なまりも無く綺麗でした。


[ 聴感評価 ]

コンパクトでも音自体は評価基準をクリアしています、期待以上だったのは高音の美しさです“バイオリンのこすれ音”が脳天に引っかかる感じでした。

   

   
    
[
Home]    [ページ先頭]
 
*

                                                                        >>

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>